野村教授の講演を聴きに行く

3月22日、ハウスクエア横浜の二宮常務に教えていただいた、日本大学理工学部(僕や古澤の出身校)の野村歓教授の講演に行ってきました。
野村教授は30年以上前から建築計画と福祉の関係を研究してこられた方で、その分野のパイオニアです。広く一般にもそのような見方を広めるべく福祉住環境コーディネーター検定の立上げにも関わり、現在その委員長も務められているとのことです。
自分が不熱心極まりない学生だった10年以上前に学部で講義を受けていた時の印象と異なり、すこし下町風の味付けのある話し方をする教授の講演はとても熱心で明確でした。以前は聞くほうの態度に大いに問題があったなあ、とまたしても反省です。講演は、聞きに来ていたひとの多くが建築関係で占められていたこともあり、徐々に実務の細かい部分に及んでいきました。
その中でも、資料の数字の出所となっている理論の話など、とても役に立ちそうな部分をいくつか書いておきます。


A: 手すりは大きく分けて三種類。
 1 

縦付け手すり(グラブバー)・・・・・指が回る握りやすい太さで。

 2 

一般部横手すり(ハンドレール)・・・・・手を滑らせて使う。利用者の大腿骨上端回転部の高さに設置。そのときの肘の角度はいちばん力の入りやすい135度になる。

 3 

排泄用横手すり・・・・・姿勢保持(座ってぐらぐらしないため)、立ちあがり、移乗用。便器座面高さから22cm程度上に設置のこと。その際便座の高さも調整の必要性をチェックする。一般的には60〜65cmぐらいになる。


 
B: 介護保険対象改修の重箱の隅トイレ編。
 1 

洗浄便座について・・・・・和式便器から洗浄機能付洋式便器への交換は対象だが、既存洋式便器の便座を洗浄機能付に取り替える工事は対象外。

 2 

トイレ移動・・・・・居室から遠い和式トイレを取り壊し、居室の近くに洋式トイレを新設することは対象となる。

 3 

逆改修?・・・・・洋式便器を和式便器にする場合であっても、はいずり移動しかできないなどの理由で必要性が認められれば対象となる。

 4 

トイレの増設・・・・・押入れを改修してトイレにする場合、便器は新築とみなされ対象外だが、その他は床仕上げの変更、開口部の変更などが適用可能。

5 

向きや高さ・・・・・便器の向きを変更することは対象となる。位置を高くする工事も同様。ただし補高便座による場合は福祉用具購入対象とみなされ対象外。


 
C: 重箱の隅そのほか編。
 1 

ドアノブを棒状把手(レバーハンドル)に変更することは対象になっているが、水栓金具をそのように変更する工事は対象外。

 2 

玄関の上がり框の部分に単に腰掛を設置しても対象外だが、これに手すりを取り付ければ一体として対象になる。

 3 

階段床面にカーペットを敷いたり取り外したりすることは、目的が「滑り防止」であればどちらも対象になる。


講演のあとの質問時間には、建築業者の評価方法をどうするのかという質問をすることもできました。

一部の自治体によって行われている、業者登録を必要とする「受領委任払い」(利用者がいったん工事代金を全額業者に払う償還払いではなく、 利用者ははじめから一割の持ち出しでよいように残りの金額を自治体が支払う制度)がある程度は悪質な業者へのブレーキになるであろうと考えられていることや、現在NPO法人 生活・福祉環境づくり21というところで、民間事業者評価システム研究委員会がその問題について、 非公開ですが作業をしていることをお伺いすることができました。
この問題は、各業者と福祉関係の方との関係が不透明ないまの住宅改修工事の現状を考えると、湘南改造家にとっていちばんの武器になる「公平性」にかかわるとても重要な部分だと考えています。
もっと詳しいお話を野村研究室でお伺いできるようお願いしたところ、4月以降ならとのお返事を頂きました。 その際に湘南改造家の考えているような各分野の連携のかたちをぶつけてみようと思います。


代表 橋本洋一郎           戻る