「ハウスクエア横浜」の二宮さんに会いに行くシニア体験ツアーそのA
(写真1)エントランスロビーにて、ビデオで用具の装着方法やツアー内容の確認後、インストラクターの飯田さんの指導のもと、カナダ製のシニア体験セットを身に付けていきます。
利き足の右足首に2kg、反対側の足首に1kgのおもりを巻くと、たった1kgの差なのですが、確実に体のバランスが崩れているのがわかります。
ひざに巻くサポーターが、それに輪をかけて右足の柔軟な動きを奪います。腕には両手首におもり、両肘にサポーターをつけ、さらに手には薄手のビニール手袋を二枚重ねで身につけたうえに、小指と薬指、人差し指と中指をそれぞれ救急テープで巻きつけて固定します。
不器用になった右手に杖をもち、視野狭窄と白内障の症状を再現するゴーグルを身につけて変身終了です(写真1)。



(写真2)右足を引きずりながら1/10のスロープをよっこらよっこら登り、まずは浴槽体験コーナーへ。
ここでは二種類の浴槽(既存タイプの浴槽に横手すりをつけたものと、バリアフリー仕様としてデザインされたもの)があり、その違いを体で覚えます。

前者はいわゆる普通の奥行き1200mm、深さ550mm程度の、一般家庭に良く見られるサイズの浴槽です。
壁側に手すりがついているのですが、(浴槽縁から100mmぐらい上の位置)、入るときはともかく、あがるときはその位置でも少し力が入りにくい感じがします。
対して、バリアフリ−仕様のものは(写真2)手すりが湯面レベルとその上100mmの位置の2本、からだにあまりぶつからないような位置に配置されていて、入るときは上の、浴槽内での姿勢保持やあがるときは下の手すりと、それぞれの使い分けができるのでとてもストレスなく使えました。
やはり上にあるものにぶら下がりぎみでからだを引っ張り上げるのと、肩下にあるものを押してからだを持ち上げるのはまったくからだの負担度が違います。
研修でよく浴槽の手すりをつけるのですが、浴槽上100mmに横手すりの取付を利用者さんにお勧めすると、「ロールのふろふたが引っかかるのでもっと上につけて欲しい」といわれることがしばしばあります。
どちらを優先するか、最終的な判断はもちろん利用者側がすべきなのですが、“その手すりが上にあればあるほど浴槽内の姿勢保持とあがる時の使用が難しくなる”ということはプロとしてアドバイスすることが必要だ、と感じました。まあ、浴槽にお湯が満たされているときは、浮力の関係でこれほどシビアにその違いはわからないかもしれませんが。



(写真4)(写真3)つづいて便器。
やはり一般仕様(写真3)と電動立ち上がり便座のついたもの(写真4)の二種類あり、一般側には高さ600mmに横手すりがついています。
横手すりだけでは立ち上がるために相当な腕力を必要とするため、やはりその前に縦の手すりがある、いわゆるL型てすりのほうがよさそうです。
電動立ち上がり便座は、自然に立ちの姿勢まで便座が斜め前に動いてくれる優れものですが、介護保険利用の住宅改修では使用が認められてなかったはずで、福祉用具の年間購入枠(10万円)で購入できたにしても、床に固定してしまったらその扱いはどうなるのであろうという疑問が残りました。要調査です。もちろん自費取り付けにはなんの問題もありません。


そのあと高齢者の視覚体験コーナーへ。
黄色が白に、青が黒に見えてしまうため、白背景に黄色い文字や黒背景に青い文字などは高齢者には見づらいようです(しまった、新しい名刺のデザイン直さねば…)。証明が暗いと、よりそのことが強調されるのがわかります。


つづいてスロープを下り、ドアや階段がたくさんあるコーナーへ。
(写真5) ドアの握り玉をまわす動作が、いかに複雑かということがわかります。
それにたいしてレバーハンドルのほうは手や肘を乗せるだけでドア開けが可能。とても簡単です。ただ、通路にでっぱってついてしまう場合は横腹などをえぐられたりすることもあるので、そのことには注意が必要です。
また、利用者によっては取り付け高さを考えるひつようもでてくるでしょ。
ちなみにこの工事(ドアハンドルの交換)も介護保険利用の住宅改修で認められています。
階段コーナーには、30度、40度、50度の階段が。
建築基準法で認められている住宅の階段寸法は、いちばん急なもので蹴上げ23cm以下、踏み面15cm以上という基準があるのですが(60度近い)、50度という寸法もそれに負けない怖さです。特に下るときは!

もし改修先にそのような階段があったときは、手すりをつけてもいつかは家庭内事故が起こるなあ、というのが僕の感想です。
また、設計にいた時には、こういう急な階段にせざるをえない場合常に30mm近い段鼻(階段の垂直な部分から段板を出っ張らせた部分)を付けていたのですが、それが引っかかり・転倒の原因になる場合の考慮が必要ということを改めて認識しました。


そのあと段差解消機(今月より住宅改修の対象に)、階段昇降機(自費)の体験をし、高齢者聴覚チェックコーナーへ。

加齢に伴い、特に女の人の声などの高音域の聴覚が衰えることを知りました。顔の見えない電話などで、注意が必要です。
さらに設備のコーナーで、多種多様の混合水洗の操作をしてみます。握り回しの形式のものや複雑な機能のものより、いちばんシングルレバー混合栓がよいのだということが実感できます。
ただ、前回の野村教授のお話にもありましたが、これは介護保険利用の改修として、まだ認められていません。
形状や金額で多種多様な製品があることもその理由の一つなのかもしれませんが、福祉用具のように認定を取るようなやり方にしてでも、やけどなどの家庭内事故を防ぐためにこの交換はかなり必要性が高い気がしました。


☆☆☆☆☆☆
これで一通りの体験が終了。飯田さん、二宮さんにお礼を述べ、体験具を外したあとのからだが軽かったこと!スケート靴を脱いだときのような、といったら判ってもらえるでしょうか。やはり健康がいちばんの財産である、というよく言われることを体感した1日でした。もちろん、これらの体験が現場で生きてくるように、研修や実務でも手すり一本の理由をよく考えてやっていこうと思います。
代表 橋本洋一郎           戻る     シニア体験ツアーその@へ